軍艦大好きさんの作品集
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我が造船所の本年の方針は、外国艦の建造を中心としております(今のところは...気が変わるかもしれないです...)
日本海軍戦艦 武蔵
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<実艦について>

戦艦「武蔵」は大和型戦艦2番艦として、昭和17年8月5日に三菱長崎造船所で竣工した旧日本海軍最新鋭の戦艦で、最後の戦艦でもあります。大戦中は、航空機の脅威により対空武装強化を行っていますが、1番艦の「大和」は12.7p高角砲を6基増強して計12基装備しましたが、「武蔵」は高角砲の製造が間に合わずに3連装機銃を変わりに装備しました。残存する主力艦がほとんど参加する昭和19年10月のレイテ沖海戦で、米空母艦載機の集中攻撃を受け、魚雷20本、爆弾17発、至近弾多数により壮絶な最期を迎えました。







<キットについて>

僚艦「大和」と共にWLシリーズのリニューアルの火付け役となったキットで、シリーズの旗艦的な存在であり、これに恥じないだけの内容を持つキットです。組み立て安さ、正確な形状などは誰でも気軽に「武蔵」の雄姿を再現できるキットとしてお勧めできます。キットは「武蔵」の竣工時を再現しており、対空兵装が少ないすっきりとした甲板上は、本来の戦艦としての威容が感じられます。





<作例について>

通例のごとく、ほとんど素組みです。いつもは機銃類をPT社のものに換装しますが、「大和」「武蔵」のキットに関してはキットのものそのまま使用しております。船体色には佐世保工廠グレー、甲板はGSIクレオスのタン色と使用し、タミヤのエナメルカラーの茶色でインパクトをつけております。











個人的には中央にハリネズミのような対空兵装を強化した「大和」が大好きなのですが、左右の甲板に副砲を装備した姿は本来の戦艦の姿を見るようで、なかなかカッコいいと思います。



日本海軍戦艦 霧島

<実艦について>

「霧島」は金剛型巡洋戦艦の4番艦として、大正4年4月に三菱長崎造船所にて竣工し、大正12年より第一次近代化改装を行い、排水量の増加に伴い速力が低下したため、巡洋戦艦より戦艦へ艦種を変更しています。昭和9年より第二次近代化改装を行って速力を増すことに成功。その結果、高速戦艦として再生しました。大戦前期にはこの速力が重宝がられて戦場を縦横に活躍しています。開戦時には僚艦「比叡」と第三戦隊第二小隊を編成して空母機動部隊直衛として活躍し、昭和17年の第三次ソロモン海戦にて米戦艦ワシントンを中心とした米艦隊と砲撃戦を行い、被弾多数により沈没しました。



<キットについて>


ウォーターラインシリーズでは当初フジミが担当していましたが、フジミがシリーズを脱退したためにハセガワが新規作成したキットで、シリーズ112として発売されています。発売当時はフジミのキットの欠点を考慮し、僚艦との違いもできるだけ表現されたものでしたが、現在ではシリーズのリニューアル化が進み、戦艦ではアオシマの「扶桑」型に続く古参キットとなってしまいました。艦首付近のモールドや後楼などに少々表現不足が目立つキットですが、カッチリした印象に好感が持てるキットだと思います。




<作例について>


ハセガワの金剛型は、実艦どおりの考証を盛り込んで本格的な修正を行おうとするとほとんどの場所を修正することとなります。よって、気軽に建造を楽しむ方には、ある程度割り切って修正するか、まったく修正せずにキットを素組で作ることをお勧めします。
「霧島」は僚艦の「金剛」、「比叡」、「榛名」のキットで必要な航空作業甲板の修正がほとんどいらないために、僚艦に比べ建造作業が容易であります。作例は開戦前の舷外消磁電路を装着していない姿(昭和15年頃)を再現。ほとんどが素組みですが、修正ポイントは以下のとおりです。

船体は我が造船所で「戦艦」クラスに使用する佐世保工廠グレー色を塗装、航空作業甲板等のリノリウム色はPT社のものを使用し、木甲板はGSIクレオスのタン色を塗装しタミヤのエナメルカラーのブラウン色で変化を付けています。











本艦は高速戦艦として空母直衛に活躍したため、アオシマの「飛龍」(旧キット)を横に添えました。高速戦艦としてのスマートな艦容はとてもカッコイイと思います。

アメリカ海軍戦艦 BB-61 IOWA

本年3作目のBB-61が完成いたしました

<実艦について>

戦艦アイオワBB-61は、アイオワ級戦艦4隻の1番艦として1940年度計画により建造され、1943年ニューヨーク海軍工廠で竣工しました。全長270mの長船体は世界の戦艦の中で最も長いものです。これに対して最大幅は32.8mであり、全体に細長いスマートな艦容をしています。また、速力は33ノットの高速戦艦でした。このため、太平洋戦争時は戦況に適した戦艦として、空母機動部隊の護衛に大活躍しました。アイオワは1943年8月のドイツ戦艦「ティルピッツ」に備えて北大西洋に配備されましたが、1944年には太平洋戦線に配備され、マリアナ沖海戦、レイテ海戦、沖縄上陸作戦などに参加しました。その後、朝鮮戦争、湾岸戦争などでも活躍しています。



<キットについて>

現在はフジミのシーウェイモデル23として発売されています。キットの開発は1975年ですので約30年前に発売された古参キットであります。当時、ウォーターラインシリーズとして115として発売されていました。同世代のキットにはタミヤの「エンタープライズCV-6」やハセガワの「サウスダコタ」などがあります。











<作例について>

米艦については詳しくなく、また、タミヤの「ミズーリ」と比較することを目的に建造したためにまったくの素組みです。約30年前の古参キットであり、現在のキットのディティールと比べるとつらいものがありますが、気軽に楽しむには十分良く出来たキットであると思います。ただし、金型の疲労からでしょうか、パーツの整形作業に手間取ります。箱絵は1944年時のメジャー3シリーズの迷彩ですが、キットの内容は終戦時の1945年時のようであり、当時採用していたメジャー22で塗装しました。メジャー22は船体下部がネイビーブルー色で、船体上部がヘイズグレー色なんですが、今回は好みでヘイズグレー色部分をGSIクレオスの軍艦色131で塗装しました。奥は本年最初の作品、ヨークタウンCV-5です。2隻を並べましたが、アイオワBB-61の竣工時にはヨークタウンCV-5は戦没しており、実際は並走したことはありませんでした。









タミヤの新作「ミズーリ」との作り比べを目的に建造しましたが、モールドはさすがに現在の新キットと比べると粗いため比較にはなりません。全体的なバランスについては、ミズーリを建造してからのお楽しみです。しかしながら、完成後にキットを眺めると中々カッコイイので、気軽に作成して楽しむには十分なキットと思います。


<実艦について>

松型(丁型)駆逐艦は、日本海軍がそれまで保有していた高性能な艦隊型駆逐艦とは違い、戦時急増艦として量産性を考慮し、船団護衛を主な目的として開発されました。このため、駆逐艦としては速力が28ノットと遅く、艦橋構造物なども直線的なデザインで無骨な印象を受けます。しかしながら、対空、対潜能力は他の駆逐艦より優れ、操縦性や凌波性にも優れていたといわれています。また、機関配置も左右非対称としたために、それまでの駆逐艦に比べ被害にも強かったといわれております。したがって、速力を除けば太平洋戦争の戦況に最も合った駆逐艦と思われます。松型駆逐艦は合計18隻が建造され、このうち1番艦の「松」は1944年4月に舞鶴工廠で竣工し、同年8月に小笠原水域で戦没。13番艦「桜」は1944年11月に横須賀工廠で竣工し、1945年7月に大阪湾で戦没しました。準同型艦に橘型(改丁型または改松型)駆逐艦14隻があります。

<キットについて>

ウォーターラインシリーズ(以下、WLと略す)では、当初フジミが37「松」と45「桜」としてラインナップしていましたが、シリーズをフジミが脱退したために1995年にタミヤが428「松」429「桜」としてキットを再開発しました。WLの駆逐艦の中では、最近リニューアルしたアオシマの陽炎級駆逐艦に次ぐ新参キットであり、タミヤ独特のデリケートなモールドとしっかりした考証に基づく正確な形状を合わせ持つ好キットです。キットは竣工当時の「松」と対空兵装強化時の「桜」がキット化されています。現在の水準では、リノリウムのモールドが省略されている点と機銃の取り付け穴が目立つ点が気になりますが、そのほかの部分は今でも十分満足できると思います。





<作例について>

前途したようにリノリウムのモールドがありません。しかし、私の技術では追加工作するとキットの雰囲気を崩す恐れが大きいため、今回はそのままにして塗装のみとしました。「松」のキットでは装備する機銃が少ないために機銃取り付け用の穴を目立たなくする必要があり、作例は穴を埋めた後に少し削っただけです。そのほかはほとんどが素組みですが、以下の点を修正しております。






このキット、WLでは珍しくおもりが無いために、作成後に船体が大きく変形してしまいました。個人的にはキットを持った時の重量感や変形防止にも少しは役に立っていると思いますので、おもりは付属してほしいです。また、「桜」のキットには軍艦旗をつけて見ました。

日本の駆逐艦の艦容では華麗さがあまり無く、無骨な印象が強い松型駆逐艦ですが、艦橋構造物付近の直線デザインになぜか心が引かれます。

日本海軍駆逐艦 松型

日本海軍小艦艇 19号型掃海艇平島型敷設艇13号駆潜艇

<実艦について>

19号型掃海艇は機雷を掃海して、自軍の艦隊の安全を守るために働く艦で、大戦中の主力掃海艇であります。大戦中期以降では船団護衛等にも活躍しました。

平島型敷設艇は港湾、泊地、海峡等の要地を防備する目的で機雷を敷設する艦で、大戦中の主力敷設艦であります。分類では測天型に属しますが、「平島」以下9隻が建造されました。

13号駆潜艇は潜水艦と戦う艦であります。日本海軍は第一次大戦における独Uボートの脅威を実感しなかったため、この種の建造は消極的で、昭和14年にやっと量産性を考慮した第13号駆潜艇が建造されました。13号型は計15隻が建造され、改型の28号型とともに大戦中の駆潜艇の中枢として活躍しました。


<キットについて>

ウォーターラインシリーズ519として1995年にタミヤより発売されました。シャープなキットですが、艦載艇の表現が省略されすぎ、また表現されていない部分が目立ちます。












<作例について>

基本的には素組みで追加工作はしていません。省略された部分が目立つので、ピットロード社(以下PT社と略す)の武装バーツを使用して再現しています。ディティールアップは以下のとおりです。


アメリカ海軍戦艦 ミズーリ BB-63

<実艦について>

ミズーリは高速戦艦として開発されたアイオワ級戦艦の3番艦として1941年1月に起工され、建造工程の遅れから4番艦のウィスコンシンより2ヶ月遅れの1944年6月に竣工したため、事実上米国が竣工した最期の戦艦となりました。1945年に主に米空母部隊の護衛で活躍し、沖縄戦にも参加、以後、北海道室蘭および茨城県日立市の工場地帯を艦砲射撃しています。









<キットについて>

当初ウォーターラインシリーズ(以下WLと略す)107としてフジミがリリースしていましたが、フジミのWL脱退に伴い2003年にシリーズ613としてタミヤが新たに開発したものです。現在、WLのタミヤ製キットでは最新作であり、モールド感や組み立て易さ、価格などを考慮しても上々の出来栄えと思います。











<作例について>

キットは竣工時の1944年と終戦時の1945年時のどちらでも製作可能ですが、1945年時のメジャー22を選びました。キット製作はほぼストレートですが、一箇所だけ追加工作しました。





















細長い船体に主砲3連装3基を備え、高速戦艦として時代にマッチした姿、カッコイイなぁ〜と感じませんか?


日本海軍戦艦 比叡
比叡
霧島

<実艦について>

金剛型2番艦として、1914年8月に横須賀工廠で完成した日本初の超弩級戦艦(巡洋戦艦)であり、主砲のみ英国のヴィッカース社で製作されています。ちなみに1番艦の金剛は船体もヴィッカース社です。1930年のロンドン軍縮会議により練習戦艦に改装されていましたが、条約脱退に伴い大改装され、1940年に再び戦艦として再生しました。開戦後は真珠湾奇襲攻撃やミッドウェー海戦等で機動部隊の直衛として活躍、1942年ガダルカナル島攻防戦の第3次ソロモン海戦において米艦隊の砲撃により操舵不能となり自沈しました。

<キットについて>

ウォーターラインシリーズ(以下WLと略す)では、当初フジミがシリーズ23として発売していましたが、フジミのWL脱退に伴い、ハセガワが110として1994年に新規開発しました。発売当初はフジミのキットの欠点を出来るだけ実艦に近づける考慮がされたキットとして評価されていましたが、10年後の現在ではシリーズの戦艦が逐次リニューアルされているため、WLの戦艦としては扶桑級に次いで古いものとなってしまい、少々不満の残る部分が目に付くキットとなりました。

<作例について>

作例は1942年時のミッドウィー海戦当時を再現しているつもりです。現在の目で見ると艦橋形状や探照灯付近、艦首甲板や航空作業甲板などに実艦と異なる部分が目立ち、これらを修正しようとすると過大な作業となります。したがって、出来るだけ簡単な作業で実艦に近づけるようにしました。なお、個人的な好みですが、このキットの少々過大表現の木甲板モールドが大好きなので、艦橋基部の最上甲板の木甲板モールド復元作業には、伸ばしランナーを貼り付けてモールドを再現しました。また、飛行機作業甲板のリノリウム形状の縮小変更に伴い、艦首側を木甲板再現する必要がありますが、この部分も同様に伸ばしランナーで再現しました。これらの作業は少々非合理的で、作業に時間がかかる割りに仕上がりが綺麗ではないのですが、キットの木甲板表現に近づけたいためにあえて行っています。

以下にキットの修正や追加作業を記します。












金剛型の中では、艦橋構造物が大きく異なる比叡ですが、艦橋がスマートな分、高速戦艦としては一番すっきりしていると思います。


ロシア海軍駆逐艦 クリヴァクT型

<実艦について>
クリヴァクT型は、ソビエト連邦が1970年代初頭より1980年代前半まで21隻を建造したミサイルフリゲート艦であり、他にU型、V型およびT型改があって4タイプに分かれます。満載排水量3,560t、全長123.5m、ガスタービン主機により出力69,100馬力を発揮し、速力は32ノット。

<キットについて>
ピットロードが1986年にスカイウェーブシリーズを復活させ、この時に新規開発したキットです。発売当時はT型とU型が別売りされていましたが、最近はしばらく絶版していました。2004年にT型とU型を選択して作成できるコンバーチブルキットになり、同社の現用艦シリーズ4として再販されました。開発は18年前となりますが、モールド感や組み立ても同社のキットのスタンダードと思われ、古さは感じられません。

<作例について>
いつもながら、ほとんど素組みですが、以下の部分を追加工作しました。

色彩はPT社の艦船カラーロシア海軍艦艇色セット「PCS-22」より、船体色PC-7のグレーと甲板色PC-5のブラウンを使用。船体水平面は艦底色レッド、煙突上部の内側を黒色で塗装しました。なお、煙突の塗り分けは、箱裏の塗装図によると煙突上部が黒色塗装なのですが、ボックスアートやウダロイ級の煙突塗装も考慮した結果、煙突上部塗装を船体垂直面色としました。


日本海軍駆逐艦 陽炎級T

<実艦について>

日本海軍の駆逐艦は、昭和初期になり艦隊型大型駆逐艦の建造に邁進し、最終的に甲型駆逐艦と呼ばれる「陽炎型」及び「夕雲型」が誕生した。陽炎型は前型の「朝潮型」で問題となった速力と航続力の改善を目的とし、昭和12年のC計画で計画され、昭和14年11月6日に第1艦の「陽炎」が竣工している。同型艦は19隻となり、終戦時には第8艦「雪風」のみが残存していました。

<キットについて>

ウォーターラインシリーズではアオシマ(以下A社と略す)が担当し、1971年に419「陽炎1942」を発売、1972年に421「雪風1944」、423「不知火1942」、425「天津風1944」を発売していました。2004年にリニューアルされ、442「陽炎1941」、443「早潮1941」、444[雪風1945」、445「秋雲1943」、446「浜風1942」、447「舞風1942」が新型キットとして発売されています。旧キットは船体形状は好評でしたが砲塔などの部品やモールドが大雑把であったため、評価がよくありませんでした。新型キットでは、これらの欠点を解消し、モールドや各部品形状も良く、一般的な評価も良いと思われます。ただ、ちょっと組み立てにくい部分があります。また、ピットロード社(以下PT社と略す)からも大戦シリーズbv24「陽炎」と825「雪風」として発売されており、こちらはやや金額は高いですが詳細なモールド感が売りのキットです。

<作例について>

PT社のキット2つとA社のキット6つを建造しました。PT社の陽炎キットは竣工当時の「陽炎」1939年時を再現、雪風キットは「磯風」1945年時の対空武装強化時を再現しました。A社のキットは陽炎キットを「夏潮」1941年時として、舞風キットを「浦風」1942年時として、浜風キットを「谷風」1942年時として建造し、「早潮1941」、「雪風1945」、「秋雲1943」の各キットはそのまま建造。大戦中の駆逐艦は艦名表記がされていませんでしたが、我が造船所建造の駆逐艦はなるべく艦名表記を行うことにしているので、キットの側面中央部と艦尾には艦名デカールを付けています。作例のキットの艦名変更は、艦名ディカールの調達が難しかったために比較的入手が容易なものに変更しました。当初は「不知火」、「天津風」などの旧キットにある艦名を予定していましたが、これらの艦はバリエーションキットとして何れ発売されるだろうと思いつつ、とうとう発売されなかったために建造しそこなったというのが真意です。船体軍艦色は舞鶴工廠色、リノリウム色はPT社カラーを使用。なお、大戦前期艦には精鋭さを表現するために、主砲の砲身基部防水布色に白色を使用、大戦後期艦には戦い疲れ(汚れ)を表現するためにガルグレー色を使用しました。キットはほぼ素組みですが、以下の追加工作を行いました。

 

 


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