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不識庵さんの作品集
製作品名:アメリカ海軍 キティホーク級 4番艦 CV-67 ジョン・F・ケネディ(2000年 海軍予備部隊所属時)
使用キット
-
- プラキット
- ベースキット:イタレリ 1/720 CV-66 アメリカ
- 艤装パーツ:PT社 1/700 E-1 現用艦装備セット(X)
- 艦上機
- PT社 1/700 S-12現用米国空母艦載機
- フジミ 1/700 SW NO.36 アメリカ海軍艦載機'98
- その他流用:イタレリ 1/720 CVN-74 ジョン・C・ステニス
- エッチングパーツ
- ゴールドメダル PE-30 現用米海軍空母用
- ゴールドメダル PE-28 現用米海軍艦艇・日本自衛艦用
- ゴールドメダル PE-1 軍艦一般装備
※2・3は手持ちのジャンクパーツより流用
- 参考資料
- 「USS John F.Kennedy」 Kalmbach K books(ハセガワ取扱)
- 「世界の艦船」海人社
- 536 1998.3 アメリカ空母の全容
- 551 1999.4(増) 新版アメリカ航空母艦史
- 562 2000.1 アメリカ海軍
- 590 2001.12 ASWの現況と将来※
- 598 2002.7 今日の中国軍艦※
- 600 2002.9 世界の空母2002※
- 625 2004.4(増) アメリカ海軍のすべて

4.
J.F.K製作に関して
@構想
まず、製作に入る前に、キットに対し参考資料と比較し、使用可能・不可能部分を見極めてました。
この時、短にJ.F.Kのみを比較するのではなく、他空母の主要部分とJ.F.Kの比較も行いましす
主な結果としては、下記の通り。
- 船体スポイソンは、右舷前方のCIWS搭載部以外はすべて作り直し。
- 船体のキャットウォークを含めたモールドのシャープ化。
- 飛行甲板形状の変更
- アイランドのスクラッチ
A船体
前項の通り、右舷前方のCIWS搭載部以外のスポイソンはすべてプラ板で作り直しを行いましたが、三次元局面部分は、作業効率を計る為に、キットを切断流用しました(アングルドデッキの前方下部)。
また、CIWS搭載部についてはモールドの凹凸があいまいなのでシャープに削り直します。
シャープに削り直すのはキャットウォーク部やエレベーター付近も同様です。
スポイソンの作り直しは、プラ板の箱組み方式です。参考資料のあらゆる写真を吟味し、キット船体寸法をベースとして寸法決めを行いました。
必要に応じ、紙でサンプルを作り船体にテープで止め、参考資料写真の角度と比較し、より適切な寸法を求めていきます。このスケールですと、1o、1.5oの誤差が出来上がったときに大きく影響するので、寸法決めにかなり悩んだりもしました。場合によっては、途中作り直しも行いました。
J.F.Kはアメリカと同様に、ステムに錨を装備していますが、キットのままでは十分ではないのですべて作り直しました
B甲板
キットの組立説明書にあるアメリカの平面図と、世界の艦船にあるJ.F.Kの平面図を1/720相当に拡大コピーし、不要部分の切断寸法、継足し部分の寸法を検討しました。
切断と継足し後、カタパルト以外のモールドはすべて削り、飛行甲板の平面化をヤスリ掛けで行います。
アレスティングワイヤーは甲板に0.2oの穴を開け、空中線で使用する銅線を使用し再現しました。
ラインについては、すべてキット付属のデカールを使用しました。塗装で再現する手法もありますが、個人的に塗装した場合、スケールの割りには段差が生じてしまうので、基本的に行いません。
甲板周辺の白線は、現物では艦上機止めの用途がある様なので、塗装にて再現しました。
以上から、艦番はどうしてもデカールで再現したかったのですが、試行錯誤の結果うまく出来ず、一辺一辺をマスキングし塗装にて再現しました。


Cアイランド
J.F.Kは使用キットのアメリカ他、どのタイプの米空母とも形状が異なる為、プラ板にてスクラッチをおこないました。基本は箱組み方式で艦橋部のみプラ板の積層方式で再現しました。
ここでも、あらゆる参考資料を吟味します。船体の寸法(ex.喫水線から甲板までの高さとか)とアイランドの寸法を比較し適正な寸法を求め、方眼紙に三面図を書いておきます。
また艦橋部の窓についてはエッチングパーツの手摺り一段物を利用しました。
J.F.Kの窓は部分的に幅が広くなっていますので、今回の製作に当ってはその実現を十分意識しました。
具体的な使用エッチングパーツはPE-28現用米海軍艦艇・日本自衛艦」用とPE-1軍艦一般装備です。前者が幅広タイプ、後者が幅狭タイプです。幅広タイプは部分的に使用されているので、手摺り1マス単位での取り付けとなり、それに幅狭タイプを接続貼り付けという事になります。
アイランド寸法設定の際、以上の窓寸法を考慮すると寸法矛盾が生じるかと恐れていましたが、思った以上に旨くまとまりました。
個性的な斜め煙突も箱組み式で再現し、煙突上面は開口し適当なエッチングパーツで格子状にしてあります。
艦番はすべて白色のデカールを切り出し再現しました。
D総括
この様に全体的に改造をおこなう場合、一番苦慮する事は、寸法矛盾です。今回の製作においても、部分的には大変悩み考える事で作業が1ヶ月以上、止まったこともありました。
5.
塗装方法
塗装は、飛行甲板はスプレー、その他はすべて筆塗りで仕上げました。主な使用塗料は以下の通りです。
- 飛行甲板: タミヤ TS-48 ガンシップグレー
- その他甲板: PT社 4 アメリカ海軍現用グレー(2)甲板
- 船体: PT社 3 アメリカ海軍現用グレー(1)船体・艦橋
- クレオス 307 グレーFS36320+つや消し
- クレオス 308 グレーFS36375+つや消し
昨今は模型作りの為のツールも充実してエアブラシなども安価な物が販売されていますが、小生は面倒臭い事が嫌いで、エアブラシ使用後の手入れに難色を示しており、未だ持っていません。
艦船の場合、現物そのものも1つ大きな鉄板で出来ている訳ではありませんし、それに対する塗装も、巨大なスプレーを使っている訳ではありませんから1/700クラスの場合、筆塗りでも十分と自己弁護いたします。
但し、筆塗りの場合、注意点が1つ。当然、数回の塗装を行うのですが、仕上げ塗りの際は上下方向に統一して塗る事です。これにより少しでも塗りムラを目立ち難くします。これはかの高橋ヤスヒコ氏のアドバイスでもあります。


6.エッチングについて
(1)切り取り
まず、エッチング商品から切り取る場合は、使い古した刃を使いデザインナイフで切り出します。エッチングニッパも持っていますが切り出す際、ニッパを入れ込む隙間がほとんどありません。また、無理に入れたりした場合、エッチングパ−ツそのものを歪ませてしまう原因にもなります。
この時も注意する事は、パ−ツそのものに支障をきたさない様に切り出す事です。
歪んだり、欠けが発生したらおしまいです。
バリについては、より少ない事が望ましいのですが無理はしません。
切り出し後、ヤスリ掛けして削り取ります。もちろん、事前塗装してある場合、塗装は剥げてしまいます。
(2)加工
@折り曲げ
基本的に、エッチングパ−ツを付ける部分の寸法を測ります。
また、手摺りの場合、手摺り1マス当りの寸法も確認します。
計る時の注意点は、計る道具(小生は金属製の定規)の寸法目盛りの線幅と、手摺りの柱部分の幅を考慮する事です。
そして忘れていけない事は、角部には手摺りの柱を必ず位置づける事です。
これは、現物でも常識的な構造であり、取り付ける際押さえつける場合、歪みを回避し安定して取り付けられるからです。
さて、折り曲げですが、小生の場合、最初の角付けは上記の金属製の定規をツ−ルとして、よりシャ−プな角を付けます。その後、プライマ−を使用します。
通常ですと、プライマ−はエッチングパ−ツ全体の確度付けをする場合は便利ですけど、結構先端が丸いので微妙な角精度を求める場合は役に立ちません。
そして、90°加工の場合、最後にエッチングパ−ツとプライマ−を垂直にあてがい仕上げています。
90°以外の確度の場合は、現物合わせで確度を決めます。どちらかと言うと、少し多めに折り曲げておき、
開きながら調整していきます。調整も無理に力を入れず、やさしく扱う様に徐々に開いていきます。
A曲げ加工
曲げ加工の場合、作りたい径よりも2/3〜1/2の小さい径のツ−ルを使います。
ツ−ルといっても、2mmプラ棒や筆柄,針柄を利用しています。
それらのツ−ルに、エッチングパ−ツを指先で押し付けながら巻き付ける様に加工しています。
この時注意する事は、エッチングパ−ツの先端から加工ははじめない事と、力を入れない事です。
エッチングパ−ツの先端は経験上、残念ながら円形状では加工利用する事が困難です。
よって、必要エッチングパ−ツの中央部から左右均等に巻き付けていきます。
力を入れ過ぎると、ツ−ルとパ−ツがズレ(滑る)て、歪んだ状態で仕上がってしまいます。
ですから、いっぺんに最後まで加工せず途中で作業を中断し、うまく加工出来ているか確認を行います。
もし、うまくいってなかった場合は、エッチングパ−ツを平らに戻し、すべてはじめからやり直します。
もし、平らに直す時、パ−ツが歪んでしまった場合、基本的には新しいパ−ツを切り出しやり直します。
但し、パ−ツ不足な場合は、歪みを焦らず出来るだけ直して使用するしかありません。
作りたい円形状が、半円の場合は円形の2/3まで上記の要領で加工します。
もし、2/3以上の場合もしくは円形の場合は、円形そのものの加工を上記の要領で行います。
お気づきになると思いますが、上記の通り円形状加工すると、巻き付けている基点の反対側で左右が
ぶつかります。この場合は左右お互いに均等に、出来るだけ自然に上下に逃がします。
加工が終わったら、不要部をエッチングニッパで切断し、ヤスリ掛けます。
この場合のヤスリ掛けは、既にエッチングを曲げ加工してあるので、プライマ−などのツ−ルが使用
出来ませんから、よりバリが少ない様に、ニッパで切り取ります。そして、手で持って軽く、時間を駆けて削ります。
以上の通り、曲げ加工を行ってますが、エッチング素材の特性上、曲げ加工の場合、ピッタリツ−ル径の
形に加工は出来ません。よって、小さめのツ−ルで加工を 行う訳です。
もし、ツ−ル径よりは大きく出来たが、作りたい径よりも小さい径で仕上がった場合は、徐々に円形状を開くしかありません。
総括的には、エッチングパ−ツは歪んだらおしまいです。特に、手摺りは縦横の単純構造なので、つり扱い方によっては歪んでしまう事が多いです。
歪んでしまったら、残念ですがはじめから作り直しです。
(3)取り付け
エッチングパ−ツの取り付けは、キットor模型の組み立て順など、構造条件で以下の通りに分かれます。
@先に取り付けた方が良いor先にしか取り付けられない
A後から取り付けられるor後からしか取り付けられない
例えば、”先にしか取り付けられない”とは、理想的には後から取り付けた方が望ましい部分でもキットの組み立て構成上、先にエッチングパ−ツを取り付けなければ、後から取り付ける事が不可能または、困難な場合を指します。
取り付け時のツ−ルとしては、ほとんどピンセットで行っていますが、微妙な加減が必要な場合は指先,爪先,針先,真鍮線,筆柄等も使います。

(4)瞬間接着剤
エッチングパーツを接着する際、当然、瞬間接着剤を使用しますが、接着方法は大きく二通りあります。
- エッチングパーツに瞬間接着剤を着け、取り付ける
- エッチングパーツを取り付ける部分に、事前に瞬間接着剤を着けておき、その上にエッチングパーツを取り付ける
基本的には@ですが、エッチングパーツが極小サイズの場合や接着性が悪い場合などは、Aの方法もおこないます。瞬間接着剤の塗布方法は0.2oの真鍮線をツールとしています。
手摺などを取り付けた後、瞬間接着剤がはみ出してボコボコ目立っている場合は、完全に接着した後にヤスリで削ります。ヤスリで削れない内側については、塗装でタッチアップしておきます。
(5)塗装
エッチングパーツへの塗装は、基本的には事前に塗装します。但し、船体もしくはプラパーツに取り付けた後でも確実に塗装が出来る場合は、その限りではありません。
また、エッチングパーツを事前に塗装しても、切り出す際、塗装が剥げます。この場合は切り出しバリを削り後、タッチアップをするしかありません。
以上はエッチングパーツに限らず、真鍮線やパイプも同様な扱いをしています。
7.好きなところ
全体のバランス:
素人の大改造ながらよく出来たのではと思っています。
良く出来たつもりでなかったら皆さんに見せられませんから・・・
アイランド:
フルスクラッチを試みて、自信はなかったが思った以上に良く仕上がったから。但し、WSC-3衛星通信アンテナ(PT社パーツ使用)はかなり大きく後で再作をする。
右舷後部以外の各スポイソン:
時間を掛け試行錯誤した結果がでたと思っている。
8.嫌いなところ
甲板上の艦番:
“6”と“7”の幅が違う。デカールで再現しようと試行錯誤していた流れで作業してしまったのが原因・・・
右舷後部スポイソン:
2.5oほど横方向に短い為。スポイソン全体完成後、気付いた為、作り直しは断念。短い為、チャフ発射機は搭載できなかった無念!
<画像解説>
手前から、
現製作中スプル-アンス、
フジミ製クッシング(スプル−アンス対比として)、
現製作中レッドオクト−バ−
いづれも、7月19日現在の状況です。
スプル−アンス
キットはアリイ製です。
やはりこのキット、出来が悪く、艦橋側面、上面のモ−ルドは
ほとんど削り取り、あとで再現する事にしました。
しかし、アリイ製、マストだけは本当に良い出来です。
船体は悩んだ末、フジミ製に置き換えました。
(cokeさんのエンプラをまねました)
艦橋の窓再現はエッチングを使用し、結構いい感じになってきてる
かな〜っと、思ってます。
レッドオクト−バ−
今だ全長の仮延長接合までの状態です。
この後、この仮延長接続状態のまま、全幅の幅延ばしの為、
両脇を切断していく構想です。
しかし、この切断は技術的に非常にヘビ−で躊躇している
今日この頃です。
スプル−アンス、少しずつ進んでいます。
のっぺらぼうの艦橋構造物の表面に手を加えました。
エッチングパ−ツ、真鍮線、エバ−グリ−ンのプラ板を
使用しました。
艦橋前面も結構良さそう(でも、筆塗りだからムラが...!)
完成です
駆逐艦 スプルーアンス
駆逐艦スプルーアンス級のネームシップ。
FRAM改造艦の代替として計画されたもので、全31隻が建造された。兵器システムの発達を見越して将来余裕を大きくとった結果、満載排水量8000トンという空前の大型駆逐艦となり、同じ船体からキッド級駆逐艦とタイコンテロガ級イージス巡用艦が生まれた。アイレーバーク級の増勢に伴いすでに13隻が退役しており、現役に残っているのは18隻である。
米海軍ミサイルフリゲート艦 |
オリヴァー・ハザード・ペリー級 |
只今、製作中